帝塚山学院 帝塚山同窓会

読み聞かせと手作り人形の不思議な縁

中学校で本の読み聞かせ活動をされている、47回の池上和子さんから、御便りをいただきましたので紹介させて頂きます。

「読み聞かせと手作り人形の不思議な縁」
47回 池上和子(旧姓:吉田)

新緑に誘われて散歩に出ると、なつかしい風景に出会います。  私は、山河に恵まれた西三河・岡崎で中学生に読み聞かせをしています。絵本だけではなく、 科学やノンフィクションの本も紹介しながら、全クラスを回っています。
昨秋は、3年生の間で謎の本だと話題になったセピア色の写真絵本『なおみ』(谷川俊太郎:作、福音館書店)を読みました。 黒髪の少女が、家に伝わる日本人形と心を通じ合わせるように遊び、やがて別れの日を迎える話です。 我が家にある市松人形や母の手作り人形、山間の小学校に残る青い目の人形の写真を見せ、鑑賞を深めてもらいました。
私がこの本を選んだ理由は、母の葬儀の折に、同級生のお母様が一緒に人形を制作されたと伺い、その不思議な縁に驚いたからです。 それは、指や鼻が欠けたままの人形を粗末に扱っていることが恥ずかしくなり、母を見習い孫の健康を祈って、 見よう見まねで修復した直後のことでした。本当に、作り手や持ち主は願いをこめて人形に接するのですね。
素朴で多感な中学生たちは、そんな話をとても一生懸命聴いてくれました。

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授業風景

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なおみ人形